今後は週に1回のペースで更新していく予定です。読者の皆さんの健康に関するお悩みや疑問を、薬剤師の視点からわかりやすく解決していきます。

【Q&A】吸入薬をちゃんと使ってるのに効かない理由​―“顎の角度”で変わる効果の差


患者さんの訴え

「先生、この吸入薬、ちゃんと使っているはずなのに、あまり効いている感じがしないんです…」

「吸入薬をきちんと使っていらっしゃるのに、あまり効果を感じられていないんですね。よろしければ、普段どのような姿勢や方法で吸入されているか、教えていただけますか?使い方のちょっとした違いで、薬の効き方に差が出ることもあるんです。」

「ええと、まず息を思い切り吐き切ってから、吸入器を口に当てて…上を向くようにしてスーッと吸うんです。顎を上げると、一気にスッと吸いやすい気がして。」

「なるほど。多くの方が“しっかり吸おう”と頑張るあまり、つい上を向いてしまうんですよね。」


「実は逆効果なんです」

「実は、顎を上げてしまうとお薬が喉に残ってしまいやすくなり、肺の奥まで届きにくくなるんです。すると、本来の効果が発揮されず、症状が改善しづらくなります。」

「えっ、そうなんですか!上を向くほうが吸いやすいから良く効くと思ってたのですが…」


正しい吸入フォームをレクチャー

「改めて正しいフォームを確認しましょう。」

  1. 姿 勢
    • 顔は水平、目線は正面。
    • 顎は軽く引いて。
  2. 吸入器の保持
    • 本体は水平に保ち、傾けない。
  3. 呼吸の仕方
    • 「ゆっくり、深く」息を吸い込む。最初に軽く息を吸いながら噴霧ボタンを押す、お薬を肺にしっかり届けるイメージで。

ポイント: 顎を軽く引くことで気道がまっすぐになり、薬剤粒子が肺へ行きやすくなります。


「ではもう一度やってみましょう。…はい、上手ですね。どうでしょう?」

「顎を引いて吸うなんて前に聞いてたかなぁ…。でも先生に教えてもらった方法で続けてみます。」

フォローアップと効果実感


「先生から教えていただいた吸入方法を続けているんですが……少しずつですが、咳も減ってきて、息苦しさもずいぶん楽になってきました!

「それは本当によかったです!

実は、同じ吸入フォームを続けて改善された患者さんのお声をこれまでにもたくさん伺ってきました。順調に良くなっていると聞いて、私も安心しました。」

「今まで慣れ親しんだ吸入方法ではないので最初は戸惑っていたのですが、“効いている”実感があるので継続することができました。」

「素晴らしいですね。そのまま継続していただくことが大切です。もし途中で疑問や不安が出てきたら、いつでも遠慮なくご相談くださいね。今後も快適な呼吸をサポートしていきます!」


ポイントまとめ

項 目誤ったフォーム正しいフォーム
顎の位置大きく上げる → 咽頭停滞しやすい軽く引く(水平)→ 肺深部へ到達しやすい
吸入器の角度上向き・斜め水平
息の吸い方一気に・力任せゆっくり・深く吸い込んだ後、3〜4秒息を止めてから息を吐き出す
吸入フォーム改善後少しずつではあるが咳や息苦しい症状が改善している

念押しに!

  • 顎を軽く引く:気道をまっすぐに保ち、薬剤を届けやすく
  • 水平保持:吸入器の傾きをなくし、吸入エラーを防止
  • ゆっくり深く吸い込んだら3〜4秒はクッと息を止め、ゆっくり息を吐き出す:肺までお薬を行き渡らせるコツ

最後に

吸入薬は、「正しいフォーム」で使うことで、症状コントロールに大きな差が出ます。もし「効いているか不安」「吸い方に自信がない」という場合は、ぜひ薬局やクリニックで吸入指導を受けてみてください。適切なテクニックで、快適な呼吸を取り戻しましょう!

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