今後は週に1回のペースで更新していく予定です。読者の皆さんの健康に関するお悩みや疑問を、薬剤師の視点からわかりやすく解決していきます。

「お薬、複数の病院で重複していませんか?薬剤師の提案で薬が減った事例を紹介」


複数の胃薬を服用されている患者さんに声掛け

「Aさんのお薬手帳を確認したんですが、B医院で処方された胃薬(胃酸抑制薬;プロトンポンプ阻害薬)と、Cクリニックで処方された胃薬(胃粘膜保護薬)を毎日服用されていますね。症状が安定しているようでしたら、まずは胃粘膜保護薬を一旦中止してみませんか?

「お薬減るのはうれしいですが、やめても大丈夫なんですか?」

「もちろん胃薬を両方服用しているから症状が安定していると考えるのは当然です。ですがAさんはこれらのお薬を長期間服用されていて、症状も安定されてますので一旦中止してみてはと考えたんです。お薬が減ると副作用のリスクも減りますよ。まずは、胃粘膜保護薬の胃薬を一旦中止してみてはどうですか? 」

「そういうことでしたら、お願いします。」


Cクリニックへ問い合わせし、胃粘膜保護薬中止になりました

電話での体調確認(2週間後)

「Aさん、Cクリニックの胃薬を中止してから2週間経ちましたが、胸やけや痛みの症状は起きてませんか?」

「今のところ問題なく過ごせていますよ。 むしろ薬を減らせて、飲み忘れも減りました。」

「それは本当に良かったです。お薬が減ることで、もしかしたら胃の調子が悪くなっていないか心配してました。それと、確かにお薬が減ると言うことは飲み忘れもなくなりますよね。また何か気になるようなことがあればいつでも連絡して下さいね。」


読者の皆さまへ

 今回の事例はお薬手帳を持参してくださったことで初めて『2つの病院から胃薬が処方されている』という事実を確認することができました。薬剤師としても、手帳にまとめられた情報をもとに、『今は症状も安定しているので、まずは○○薬を一時中止してみましょう』とご提案することができました。その結果、患者さんはお薬を減らせただけでなく、副作用のリスクも減り、『家計にも優しく、気持ち的にもラクになった』と喜んでおられます。


改めてお薬手帳の活用法をお伝えさせていただきます


  1. お薬手帳は“すべて”を記録
    • 処方薬だけでなく、市販の胃薬やサプリメント、漢方薬も忘れずに書き込んでください。
    • 自分で飲み始めたタイミングや、効果を感じた/副作用を感じた時期もメモすると、薬剤師やお医者さんとの相談がスムーズになります。
  2. 症状だけでなく“生活の変化”も伝える
    • ストレス、食事内容、運動量、睡眠時間など、胃の機能に影響する要素も合わせて伝えると、薬の調整が的確になります。
    • 例えば「最近仕事が忙しくて夜遅い食事が続いている」「コーヒーを飲む量が増えた」など、小さな変化がヒントになることも。
  3. デジタルツールの活用もおすすめ
    • お薬管理アプリやスマホのメモ機能を使って、お薬手帳と平行して記録すると、さらに情報が集めやすくなります。
    • アプリなら、時間ごとのアラーム設定や飲み忘れのリマインド機能も活用可能です。
  4. 「気になる」を放置しない
    • 「少し胸やけが減った?」、「薬の数が多すぎる?」と感じたら、その“ちょっとした違和感”を後回しにせず、早めに相談を。
    • 小さな疑問が大きな改善につながるケースはたくさんあります。

最後に;薬局をひとつにまとめたら「見落としゼロ」に!


複数の医療機関にかかっている方は、ぜひ“かかりつけ薬局”を一つに決めてみてください。

  • お薬手帳を忘れた日でも、すべての処方箋を一元管理できます
  • 薬の重複や相互作用を見逃さず、適切な減薬・調整をスムーズに行えます
  • 薬剤師との信頼関係も深まり、健康相談もしやすくなります

「お薬が重なっていないかな?」と思ったら、まずは「かかりつけ薬局」でご相談を。
また、よりきめ細かな薬の相談や管理(一から説明しなくても自分の事をよくわかっている薬剤師)を希望される方は、「かかりつけ薬剤師制度」をぜひご活用ください。ご興味がありましたら、お気軽にかかりつけ薬局の窓口でお申し出ください。

「かかりつけ薬剤師」について詳しく知りたい方はこちら

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