患者さんご家族からの質問

「先生、母のHbA1cがなかなか下がらないようなんです…何が原因でしょうか?」

「お母様は以前からリベルサス錠を飲まれていますね。お水の量はどれぐらい飲まれてますか?」
【リベルサス錠について詳しい情報を知りたい方はこちらへ】

「薬が苦いと言うのでオブラートに包んで、たくさんのお水で飲ませていました。」

「確かにこのお薬は苦いと他の患者さんからも聞いたことがあります。苦いのはお辛いかと思いますがこのお薬は、食前に少量の水(約120mL)で直接服用した方がしっかりと効くんです。オブラート包み+大量の水は効きが弱くなってしまうんです。」

「オブラートもたくさんのお水もダメなんですね…。ではどうしたらちゃんと飲んでくれるんですか?」

「服用の直前に、あらかじめ少量のお水を口に含んでから飲むと、喉をスムーズに通りやすくなって、苦味も多少やわらぐと思います。」
「最初は大変かもしれませんが、慣れてくると自然にできるようになると思います。」

「わかりました。少し不安もありますが、教えていただいた方法で、なんとか頑張ってみますね。」
服用3ヶ月後のHbA1cデータ
期間 | HbA1c(%) |
---|---|
服用前 | 8.9 |
3ヵ月後 | 7.2↓ |
結果、約2.0%の低下が確認でき、治療目標に近づきました。

「飲み方次第でこんなに良くなるんですね。ほかにも何か注意点はありますか?」

以下の点もご注意くださいね;
- 毎日できるだけ同じ時間帯に服用
- 飲み忘れた場合は、その日の分はスキップして、翌朝に1回分のみ服用
- 服用後、少なくとも30分は何も食べたり飲んだりしない
- 吐き気や胃の不快感が強い場合は、無理せず医師や薬剤師にご相談

「ありがとうございます。こうして具体的に教えていただけると安心します。正しく飲めているかどうか、これからも一緒に気をつけて見ていきたいと思います。」

「そう言っていただけて嬉しいです。お薬の効果を最大限に引き出すには、ご家族のサポートがとても大きな力になります。
これからも一緒に、少しずつ前向きに進んでいきましょう!」
ある日の服薬指導にて

「こんにちは。いつも飲まれているこのお薬(リベルサス錠)なんですが、もうご存知かもしれませんが…どれくらいのお水で飲まれていますか?」

「えっ?普通にたくさんのお水で飲んでますよ。だって以前に、“多めの水で飲んでください”って言われたことがあるので…」

「あっ、そうだったんですね。失礼いたしました。確かににほとんどのお薬は多めのお水で飲むのが基本です。ですがこのお薬はちょっと特殊でして、“なるべく少ないお水(約120mL以下)で”飲むことで、しっかりと効くようになっているんです。」

「えっ、そうだったんですか!?知らなかったです。なかなか血糖値が下がらなかったのって、それも関係してたんですね…。」

「そうかもしれませんね。少しずつでも変化が出てくると思いますので、ぜひ明日から試してみてください。」
それと、正しく服用することで今までには起きていなかった副作用が起こるかもしれません。例えば吐き気や胃の不快感などがあります。気になる症状があればいつでも連絡してくださいね。

「わかりました。じゃあこれからは少なめの水で飲んでみます。教えてくれてありがとうございました。」
まとめ
リベルサス錠は「食前に少量の水で直接服用」するお薬です。そうすることによってしっかりと効くお薬です。苦味はありますが、この方法でHbA1cがしっかり改善しますので、ご家族でサポートしながら継続してください。
今回の件でも、服用方法を正しく見直すことで、お薬の本来の効果がしっかりと発揮され、HbA1cの改善につながりました。ご家族の方から「丁寧に教えてもらえて本当に助かりました」と感謝のお言葉をいただき、薬剤師としてとても大きな励みとなりました。
薬剤師として、今回のように服用方法が少し特殊なお薬については、患者さんが日々正しく飲めているかどうかを定期的に確認する大切さを改めて実感しました。お薬の効果を最大限に引き出すために、これからも丁寧にサポートしていく姿勢が欠かせないと感じています。
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リベルサス錠の誤用が増加?若者の間で『痩せ薬』に使用
リベルサス錠は本来、2型糖尿病の治療を目的として使用されるお薬ですが、最近では「痩せ薬」として若年層の間で安易に使用されるケースも報告されています。適応外使用や個人輸入による自己判断での服用は、重篤な副作用や健康被害につながる恐れがあり、大変危険です。
リベルサス錠を含むGLP-1受容体作動薬の濫用に関する詳しい情報や注意点については、以下の記事でも解説していますので、関心のある方はぜひご覧ください。