今後は週に1回のペースで更新していく予定です。読者の皆さんの健康に関するお悩みや疑問を、薬剤師の視点からわかりやすく解決していきます。

【Q&A】黒色便が続くのは副作用? 貧血治療薬中止後の原因究明と早期受診のすすめ


エピソード1:施設看護師からの相談

施設利用中の患者さんが、貧血治療薬として鉄製剤を飲んでました。貧血の値が良くなったので先週中止になったのですが、中止後1週間経っても黒色便が続き、お腹の痛みも訴えています。

黒色便が1週間も続くのは、鉄剤の副作用としてはかなり稀ですね。

もしかすると他に原因がある可能性も考えられます。

ただ、正確な情報をお伝えしたいので、製薬会社に一度確認してみますね。

折り返しご連絡させていただきます。


エピソード2:製薬会社への問い合わせ

「鉄製剤中止後、黒色便はどのくらいでなくなりますか?」

製薬会社担当者

「通常は中止後2~3日程度で見られなくなります。1週間も続くのは稀です。

「鉄製剤の副作用であれば2~3日程度で消失しますので、1週間以上続くのは異常です。消化管出血や潰瘍などの他の原因が考えられますので、早めに受診をお願いします。

わかりました。副作用だけじゃないかもしれないんですね。

今日中に病院へ連れて行きます!


【表】鉄製剤中止後の黒色便消失期間

項目期間備考
副作用による黒色便2~3日程度個人差あり
今回の症例≥7日1週間経過しても継続中

エピソード3:受診と結果

(翌日電話にて確認)

「昨日、病院には行かれましたか? 検査結果はいかがでしたか?」

はい、すぐに病院で胃カメラを受けたところ、「十二指腸潰瘍」だったことが分かりました。

胃酸を抑えるお薬や、食前に飲む胃粘膜の保護薬などが処方されました。

いろいろアドバイスいただき、本当に助かりました。ありがとうございました!

薬剤師

そうだったんですね。結果を教えていただきありがとうございます。

早めに対応できて、本当によかったです。

また何かありましたら、いつでもご相談くださいね。


解説とポイント

  1. 貧血治療薬による黒色便と疾患による黒色便
    • 鉄製剤の着色と消化管出血のメラーナ(真性黒色便)は見た目が似ているので注意が必要。
  2. 鑑別疾患
    • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道静脈瘤破裂など
  3. 受診のタイミング
    • 中止後3日以上黒色便が持続、あるいは腹痛・吐血を伴う場合は速やかに消化器内科を受診

最後に:薬剤師と看護師の連携がもたらす「患者さんの安心」

今回のように、施設の看護師さんからの相談をきっかけに早期の受診につながり、重大な疾患が見つかりました。

そしてこの一連の連携を通して、私たち薬剤師と看護師さんとの「距離」がぐっと縮まったように感じました。

今回は施設の看護師さんからのご相談でしたが、今後も他職種の皆さんと日頃からの情報共有や声かけを大切にしながら、患者さんが少しでも安心して過ごせるよう、一歩ずつ取り組んでいきたいと思います。

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